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03月09日-02号

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  1. いわき市議会 1970-03-09
    03月09日-02号


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    昭和45年  3月 定例会           昭和45年3月9日(月曜日)           -------------- 議事日程 第2号  昭和45年3月9日(月曜日)午前10時開議日程第1 市政一般に対する質問     (代表質問)     -----------------------------本日の会議に付した事件  〔議事日程第2号記載事件のとおり〕     -----------------------------出席議員(47名)   1番   四家啓助君      2番   古川洋一君   3番   雨宮幸夫君      4番   永山徳二君   5番   斎藤隆行君      6番   御代武光君   7番   菅波大十一君     8番   佐川正元君   9番   渡辺多重君     10番   三辺 寛君  11番   田口誠二君     12番   多賀重吉君  13番   市橋 武君     14番   星 昭光君  15番   鈴木勝夫君     16番   新妻忠直君  17番   坂本昌蔵君     18番   沢田八束君  19番   山城浅治君     20番   古市寿平君  21番   白土正義君     22番   鈴木 榮君  23番   吉田利治君     24番   渡辺 君  25番   中村慶次君     26番   吉田 正君  28番   新妻信吾君     29番   石井芳江君  30番   小林周喜君     31番   菅野留之助君  32番   鈴木光雄君     33番   石山一治君  34番   長瀬彰義君     35番   橋本 勲君  36番   強口和美君     37番   国井一美君  38番   坂本 登君     39番   小林仁一郎君  40番   緑川万寿吉君    41番   野崎貞行君  42番   合津義雄君     43番   志賀季三郎君  44番   生田目 清君    45番   吉田 栄君  46番   佐瀬 誠君     47番   佐川吉平君  48番   鈴木裕文君欠席議員(1名)  27番   及川正枝君     -----------------------------説明のため出席した者 市長      大和田弥一君   助役      馬目俊次君 収入役     園部 茂君    教育委員長   江尻 君 教育長     大和田道隆君   水道事業管理者 鈴木榮一君 監査委員    塩 庄造君    総務部長    横田謙一郎君 市長公室長   内山栄一君    財務部長    加賀 裕君 市民部長    橋本 渡君    農林部長    蛭田喜久男君 商工水産部長  山崎吉二郎君   建設部長    但野武義君                  社会福祉 企画開発部長  嶋崎忠好君            吉田信雄君                  事務所長 水道部長    永山憲太郎君   消防長     氏家清三郎君 教育次長    坂本平助君    総務課長    鈴木 榮君 調整課長    須永恭平君    人事課長    関内栄三君 財政課長    杉山保久君    秘書課長    松本忠夫君 市民課長    青沼康裕君    農政課長    沢田三男治君 商工課長    松本正盛君    監理課長    作山 優君 企画課長    小泉 毅君    監査委員    小野 君                  事務局長     -----------------------------事務局職員出席者 事務局長    加瀬正志君    議事課長    永山 厳君 調査課長    森下繁雄君    庶務課長    宮川公寛君 議事課長補佐  舛田良作君    議事第一係長  鈴木政雄君 事務主任    片桐正尉君     -----------------------------              午前10時11分 開議 ○議長(志賀季三郎君) これより本日の会議を開きます。本日の会議は、配付の議事日程第2号をもって進めます。     ----------------------------- △日程第1 市政一般に対する質問(代表質問) △吉田正君代表質問 ○議長(志賀季三郎君) 日程に従い、これより一般質問を行ないます。26番吉田正君。 ◆26番(吉田正君) 〔登壇〕(拍手)26番新政会の吉田正でございます。 光陰は矢のごとしという格言のように年月のたつのは非常に目まぐるしく、早いもので合併以来はや5年目の議会を迎えたのであります。この間にあって、市長をはじめとして執行部の方々におかれましては市政伸展のため何かと蓄積された難問題をかかえながらも力強く、しかも、大地を踏みしめるかのように一歩一歩前進してまいられた姿を見て、私どもは常に心強いものを感ずるとともに、その努力に敬意を表し、さらにとどまるところのない充実した市民福祉の発展向上をはかることを熱望する観点から、新政会を代表いたしまして当局の見解をただしてまいりたいと思います。 最初に、施政方針に対して触れてまいりたいと思います。1970年代の幕明けとともに真に行政の一体化された中にあって、われわれ新政会は将来の展望を見つめるとき、その責任感と任務の重大さに身の引き締まるおもいを覚えると同時に、市民がこいねがってやまない市政の伸展の確立をはかるため、さらに努力を重ねてまいりたいと考えております。そのためには大和田市政に対しては「是々非々」の立場を留保しながら議会運営に臨んでまいりたいと思います。 新政会は先に、これからの行政施策のあり方として体系性と連続性の観点から修正し、両者を総合すべきであるという考え方に立って、諸施策に対する積極的な施策をかかげ、市長に対し要望をして来たところでありますが、その結果、当局においては英智を集めて、われわれの意図するところは一・二の再考を促す点を除いて積極的施策施政方針の中に大かた盛り込まれたことはご同慶にたえません。具体的にはややもすると従来まで消極的な予算編成をされて来たが、今回は従来の形を打破し、財政の好転もあって当初から財政を的確に把握され、積極的な予算を計上されたことであります。この意図するところは市民の願望を積極的に満してやろうとするあたたかい思いやりのあらわれであろうと考えるものです。 また、本年度の基本方針として三本の柱が掲げられたのでありますが、具体的に三本の柱の中に網羅されている内容を見まするとき、いずれも合併以来の懸案事項として、市民ひとしくその実現方を待ち望んでいたものであります。しかし、積極的予算も三本の柱もすみやかに実行しなければその実は結ばないのでありますので、特段に推進方を要望しながら施政方針に対する賛意を表するものであります。ただ施政方針の中にありますように、福祉対策の一環として、敬老年金の支給年令を従来の77歳から75歳に引き下げ、年額3,000円にしたことと、児童手当を新設し、第4子から年額3,000円を支給する方針をとっておられることは喜びにたえませんが、特に老人と言われる方々は長年社会に数多く貢献されて来たのであります。そうした方々に対して老後に生きる楽しみを与えるための積極的な施策を講じなければならんと考えるものであります。また、児童手当にしても第4子からとなっておりますが、現在の家族構成からみても4人の子供を持つ家庭は少ないと思われます。したがって、老令年金と児童手当については、将来増額すべきであろうと思われますので当局の見解をただしておきたいと思います。 次に都市基本整備計画について質問いたします。経済の高度成長と産業構造の変化に伴い、わが国の人口は急激に大都市地域に集中し、一方農村部においてはますます過疎現象を呈しております。このため大都市地域には道路交通の麻痺、上下水道の不備、土地住宅の不足、各種公害の発生等、都市問題が深刻化して来ており、このままの状態が続けば収拾のつかない混乱におちいることは目に見えております。しかも都市化現象は地価の高騰を呼び、住宅は安い土地を求めて外へと無秩序に拡散し、公共投資はそれを追いかけるばかりで効率的に行なわれていないのが現状であります。こうした都市の混乱状態を打開し、住民の生活を守り機能的な都市活動を確保するには、土地を合理的かつ計画的に利用することが根本でなければなりません。幸いに新都市計画法が、昭和44年6月14日施行になったのを契機として、いわき市全域にわたる土地の高度利用計画が樹立されつつあるということはご同慶にたえません。いわき市においては新産業計画及び新市根幹事業がありますが、これらの計画は、新市一本化の現在及び将来の展望から考えると相当修正する余地が残されていると思います。これらについてはすでに出されている高山研究室のレポートを参考にして、さらに現在のいわき市の情勢を踏まえながら市勢振興計画を樹立すべきであると考えられます。したがって、市勢振興計画の策定にあたっての基本的な考え方と策定の時期並びに方法等について明快なる答弁を求めるものであります。 次に、教育行政について質問いたします。こんにちの激動する時代の中にあって、マンモス新産都市いわき市の正しい発展のあり方として「教育の市」いわき市にすることによって達せられるものと信ずるものであります。特に近年失われて来た人間関係が指摘され、これが大きな社会問題にまで発展して来ておりますことは周知のとおりであります。人間性の失地回復をはかるためには、まずもって児童生徒に対して将来に夢と希望を与えるような施策が必要であり、それがなければ中途半端な人間しか存在しなくなることは明白であります。また、このことによって人間性はますます薄れてしまうことをおそれるのであります。人間性が失われてはどんな立派な計画でも実行不可能となり、大いなる発展はとうてい望めないのであります。教育者は常に将来の展望をもって、いわき市で教育を受けた誇りと喜びをかみしめながら、社会に飛び立って行く姿をみつめなければならないと考えられるのであります。国、県においても人づくりの問題を一つの柱としてその施策をとっております。そこで正しい教育のあり方をとらえるために次の4つの問題を中心にした課題として、いわき市立教育研究所を設置して、これが中核となる研究実践をすることが望ましいと考えるものであります。 その1つには、いわき市における教育問題を総合的に研究調査をするため、県の教育委員会、市の教育委員会をはじめ小中学校長会及び各種研究会において、長年の間いわき市の実態に立って、研究調査を実施し、部分的に尊い実践の成果をおさめつつあることはきわめて力強いことであるが、いわき市全体の総合的教育計画による研究調査にはぜひ着手すべきであり、大きな課題であろうと思われます。いわき市の教育の3年計画、5年計画もの研究調査をもとにして実施することが本筋であり、この総合的研究調査教育研究所の第1の役割りであると思うわけであります。 2つには、教職員の研修の促進と確立をすることであります。「教育は人なり」ということはいつの時代でも真実であり、教育の道に従事するものは常に研修を積み重ね、いわき市の教職員であるという自覚と誇りを持って情熱を傾けての実践が生命であると思われます。そして、その研修は自主的、創造的なものでなければならないと思います。それは教職員の生命的な研究への手助け、案内役、相談役が教育研究所の第2の役割りであります。 3つには、教育関係各種資料を整備し、活用することであります。教職員が個人的に、または共同的に研究を進めるうえに教育図書をはじめ教育関係各種資料及び諸実践記録等が1カ所に整備しておくことが基本的な条件であります。長年の貴重な記録・資料が整備されていないことは研究の積み重ねができずたいへん残念なことであります。したがって、この資料の整備と活用が教育研究所の第3の役割りであります。 4つには、教育相談の成果を期することであります。技術革新が叫ばれているこんにち、青少年の能力開発は重要課題であり、また各学校においてはその実践に努力中ではありますが、専門的な立場からそれを助言し、または相談相手になるところが必要である。また、家庭教育がゼロ時代にあるとされ問題が発生しているとき、これの対策、治療等について各学校と連絡し、助言なり、相談にのり、あるいはまた直接対策にあたるところが必要であると思われます。 以上4点にわたって教育研究所の役割りを列挙しましたが、これが設置の重要性にかんがみ各府県においては十数年前より多くの設置を見て教育の伸展に大きな役割りを果たしていると聞いておるのであります。幸いにして本県においてはこれが設置を見ておりますが、市町村においてはまだその設置をされていないのであります。そこで、いわき市は他市町村の先便を切って、独自の教育問題も数多いので、市立教育研究所の設置をして自主的、創造的な施策を立てて実践すべきであろうと考えられます。これにはもちろん財政的な裏づけがなければなりませんが、すでに実施している例を見ますると、当初から立派な建物で高額な経費をかけて出発したところはほとんどなく、はじめは学校や公民館等の間借り程度で経費も100万円くらいからはじめているのであります。したがって、いわき市としても、45年度には教育研究所設置についての調査費を計上して設置に踏み切るべきであると考えられるが、これらの構想があるかどうか質問いたします。聞くところによりますと、教育長は二・三年後に中央公民館ができればその中に設けたいということであるが、教育は一日もゆるがせにできない観点から、それまで適当な場所において調査研究を進めておく必要があると考えられますので、その点についての考え方も合わせて質問いたします。 次に、農業行政について質問いたします。総合農政が示されてから約3年がかりで基本方針なるものが去る2月20日の閣議で了承され、国民の関心は米作一辺倒の農政が招いた米の過剰をどうすればよいか、つまり総合農政の展開にあたり、当面150万トンの米の生産調整をどうするかが焦点となって来ております。このことは、すでに施政方針の中で述べられておりますように、いわき市としては2,898トンの生産調整を受け入れざるを得ないと判断して、すでに農業団体を通じ、これが実施のための具体策を協議中であるということでありますが、本間題は農民にとっては重大関心事であり、従来、米の生産を奨励して来たたてまえから生産調整の問題については慎重を期さなければならないのであります。したがって市長は、具体的にどのような指導を行ない、または現在置かれている農民の不安と動揺にいかに対処するかについて答弁を求めるものであります。 次に農業振興計画についてでありますが、市は昭和43年に農業振興計画を樹立し、これが施策を講じて来たととろでありますが、先にも質問いたしましたように、米の生産調整という大きな問題をかかえ、今後どのような振興計画を樹立する考えなのか、これらに対する大綱を示していただきたいと思います。 次に、農産物の価格を安定させ、消費者に真に喜ばれる農産物を生産させるためには流通機構の整備が必要となって来ております。そこで市は、昭和43年度より中央卸売市場建設の構想をもっていたにもかかわらず、現在に至るもまだその実現を見ていないことは遺憾であります。しかしながら、本年度においてこれが建設のための調査費を計上され意欲を示されたのでありますが、一体どのような方法で計画を立てていく考えなのかお聞かせ願います。 次に、農業をより以上に振興させるためには一時的な投資では実効をあげることは不可能であり、長期的展望に立っての投資が必要であります。目先の効果のみにとらわれて財政投資をしている傾向が強く感じられるので、今後の課題として、十分なる農業振興のため積極的な投資をすることを検討していく考えがあるかどうかお聞かせ願いたいのであります。 次に阿武隈山系開発の問題について触れてみたいと思います。国においては阿武隈山系開発のために昭和45年度において3,300万円の調査費を計上し、本格的調査にはいるということを聞くのでありますけれども、市はこれに対応する機構の整備を考えておられると思うのでありますが、これが組織をどのように編成しようと考えておられるのかお聞かせ願いたいと思います。また、開発の実現については積極的に努力すべきであると考えられますので、開発促進の経過等についても合わせてお聞かせ願いたいのであります。 次に、観光行政について質問いたします。県は、45年度から積極的に観光開発を進める方針をとっているその中で、浜通りには四季を通じて楽しめる海洋レクリエーション基地の建設構想を練っておられるようであります。具体的には海中公園や大型海水プールヨットハーバー等の建設も計画し、46年度から工事に着手する予定となっていることを聞くのであります。この計画を聞くに及んで私どもは、県の観光行政に対する視野の広さに対し称賛の意を表するとともに、今後の観光行政に明るい希望がわいてくるのであります。現在、浜通りを訪れる観光客は年間約600万人で、このレクリエーション基地ができればこれよりさらに五・六倍の観光客がふえるものと見られ、新たな観光開発として非常な期待が寄せられているのであります。この建設予定地として松川浦及び塩屋崎灯台から新舞子間が有力視されているようであります。ご承知のように塩屋崎灯台から新舞子に至っては地形、気象条件、こんぺきの海、青々と茂る砂防林と環境のよさはどの地にもまさるとも劣らない絶好の場所でもあります。また、これが実現すれば市民の憩いの場として、また心身をいやす好適の場所となることは必至であると同時に、他市町村から遊びに来られた方たちはいわき市にはよい娯楽施設が整ってよい町であるという印象を植えつけられるのでないかと考えられるのです。そのこととによって人の口から人の口ヘ伝わってますます観光客が増加して来ると思いますし、工場誘致に伴って、従業員の福利厚生の一助ともなるものと考えられ、いわき市の一大飛躍のステップにつながると考えるのは私ひとりでないと思います。 私は、市長に対して、この海洋レクリエーション基地をいわき市に是が非でも誘致してくる気がまえがあるかどうか、あるとすればどのような誘致運動を展開されるのか、その方法等について質問いたすものであります。 次に、常磐高速道路の問題について質問いたします。日増しに道路網の発達とモーターリーゼーションの発達は目ざましく、いまや日本の狭さはますます実感として印象づけられつつあります。このことは世界の共通した問題であろうと考えられます。ご承知のように、これらの発達によって、従来まで各国から後進国とまで言われて来たわが国経済もいまやエコノミック・アニマルとまで言われるような高度経済国に発展して来たのであります。これまでに成長する過程においては、国民がこぞって勤勉であったことと前述した点が重なったからであると言われております。このように過去の歴史が物語るように高度経済の発展を望むには、道路網の整備拡充によって盛んに政治・文化・経済の交流をはかることが第一の要素でないかと考えられるのであります。国は41年に高速道路建設計画の予定路線を決定し、その後43年に埼玉県の三郷町から茨城県の石岡までの区間が基本計画として決定されたのでありますが、石岡市以北のすなわち平までの常磐高速道路基本計画はまだ決定されていないと聞くのであります。しかし、これも早晩実現の可能性があるということも合わせて聞き及んでおります。常磐高速道路の建設は、長年われわれが待ち望んでいたところであります。これが完成されれば少なくとも東北の後進地域という印象から脱却できると思うし、逆にいわき市は関東圏内の表玄関にはいったという印象にぬりかえられるのでないかと推察されると同時に、われわれはもろ手をあげて本道路の建設に対して賛意を表するものであります。この道路が完成されることによって、政治・文化・経済の交流に大いに役立ち、やがては都心と同じような政治、文化、経済の地となるであろうという期待が胸いっぱいに広がるのであります。したがって、この問題に対してわれわれは、当局をバックアップしながら完成を待ち望みたいのであります。 そこで市長に質問いたしたいことは、今後、本問題に対してどのような方法で対処していくのか。また、国に対する運動のしかたをどうするのか。具体的に明示願いたいのであります。 次に、市長選挙について質問いたします。大和田市長は、いわき市誕生以来こんにちまで幾多の試錬を経て、数々の難問題に対処し、日夜市民福祉のためにたくましく精力的に市政に取り組んでまいられ、かつまた、市民の要請にこたえて来られた手腕力量に対して、われわれ新政会といたしましてはまず敬意を表する次第であります。 わがいわき市は、新産都市として発足以来まだ日が浅く、また広域都市という特殊な形態の中にあって、これからも以前にましてきめのこまかい市政の伸展をはからなければならない、山積みされた問題が数多く残されているものと思われます。そこで、本年秋任期満了となられる市長は、現在まで執行してまいられた市政をさらに積極的に推し進めるべく再度市長選に立候補し、市民福祉のために貢献する意思があるかどうか質問いたします。 以上7点にわたる質問を行ないましたが、当局におかれましては簡潔にして明快な答弁を求めると同時に、今後ともたゆまぬ努力を払い、いわき市発展のために寄与されることをこいねがって代表質問を終わることにいたします。 ○議長(志賀季三郎君) 市長。 ◎市長(大和田弥一君) 〔登壇〕ただいまの26番吉田議員よりのご質問にお答えいたします。 第1点は、福祉対策についてのおただしでございます。老人福祉年金を今回77歳から75歳に年令を引き下げを行なったことは歓迎するが、金額においてなお増額する意思がないかどうかという点と、児童手当を第4子以上に対して支給するということだが、第4子でなく第3子あるいは第2子と児童手当支給の範囲を広げるべきでないかというおただしであります。 老人対策につきましても、児童対策につきましても、本来は国の行政としてやるべきものでございます。国におきましてもいろいろ施設を講じておりますが、まだその域に達していない。特に児童手当につきましては、45年度から実施したいという厚生省の意向であったが、国の財政の都合上これが1年以上延び、あるいはその間に県によっては2年延びるかもしれないというようなまことにさびしい国の施策でございます。そこで、私たちとしましては、それを待っておるということはいくら国の施策と言いながらも、やはり、市の立場からやるべき性質のものであるというところから、この福祉対策を立てたわけであります。老人手当につきましては2歳年令を引き下げたのであります。国はいつまでもこのままにしておくということであれば、やはり今後の対策としてわれわれは増額も将来は考えなければならんと思うのであります。また、児童手当につきましてもそういうことでございます。しかしながら、まずわれわれとしては、国政としてやるべき性質のものであるということを国でも認識をもって、またその意欲をもっておるのでありますので、極力、国に対する本格的な老人対策児童対策を立てるべきであるということを声を大にして国に強く要望していきたい。これが基本でないかと思います。とりあえずいま申し上げましたような方法をもって、市としても国の施策を待つことなくやっておるという現状でありますのでご了解願いたいと思います。 次に都市整備計画でございます。このことにつきましてはご承知のように、新産都市基本計画というものがあります。これが昭和39年の新産都市指定と同時にその基本計画ができました。それを合併の際の41年10月に、大部分、新産都市基本計画をそのまま新市の根幹事業として取り入れて、そして根幹事業を推進していくということが合併の基盤であったわけであります。しかしながら、現況においては必ずすべてその計画どおりにやっていくというわけにはまいりません。ということは、ご指摘のように毎年あるいは毎月、いわき市の発展状況というものは変わっておるのであります。そこでやはり、われわれとしてはこれを手直しし、またこれの発展に即応する計画を立てていかなければならないと思うのであります。県においては、県勢振興計画を立てて目下審議会で審議中でございますが、いわき市としては全体の伸展に見合うところの構想を一昨年から立てまして、それに審議機関をつくりました。いわゆる経済会議を発足したわけでございます。その経済会議の諮問にわれわれはこたえて、そしてその方法を見い出したわけでございます。このことにつきましては、議会におきましてもそれぞれ報告したとおりでございます。しかしながら、都市部における実施計画につきましては、なおわれわれとしてはもっと煮詰めた案をつくらなければならないと考えております。そこで、昨年の議会でご協賛を得まして都市計画協会に依頼して、将来のいわき市としてのビジョンというものを都市工学的な立場から検討してもらおうとして、まず5年計画くらいを一応短期計画とし、長期計画としては将来10年ないし20年を目途とした長期計画をつくるという構想をもって目下学者あるいは政府、ことに建設省、国鉄、農林省の専門家、それからその他の実際にあたっておる実務家等二十数名を委託いたしました。それで、われわれは資料を十分提供しまして、1つのベースをつくっていただこうということで目下それの作業を進めているわけでございます。今年度中にはその計画の大綱ができるであろうと、こういうふうに考えております。 このいわき市は、ご承知のように非常に範囲が広いというばかりてなく、いわゆる市の発展状況というものは非常にたくさんの核を持って、その核が有機的に結ぶようなかっこうをもって進めなければならないと思います。そういう面から申し上げまして非常に多彩な都市計画なり都市振興計画を立てなければならないのでありまして、専門的な立場から研究願っておる次第でございますので、いずれそれができたならば、われわれとしても議会とともにそれを十分検討して、長期計画、短期計画を策定し、その計画のもとにいわき市の振興計画の基盤をつくりたいと考えておるのでございます。 次に教育問題でございますが、いわゆる教育の基盤、人間性の回復が叫ばれております。マイホーム中心、また所得、物資というようなものを中心にして人間が動いておるわけで、これでは精神面の回復が真剣に行なわれないという欠陥が世上において現われており、そういう意味からわれわれ教育の場において検討を加えなければならないというで、まことにそのとおりでございます。 そこで各県においては教育研究所が設置されており、また大学の中に間借りして研究所をつくっておりますが、いわき市としても非常に広い地域にわたってのもろもろの問題がございます。そこで私たちとしましては、これに対応するために教職員の研修それから教育のあり方について、いわゆる研究的な1つの場をつくる必要があります。ご指摘のようにわれわれも考えておりまして、「少年の家」を研究のモデル的な場として利用するわけでございます。教職員もそれを基盤にして研修の場をつくっていきたいと考えております。将来は資料の収集のためにはどうしてもこの地域に資料館あるいは図書館の設置が必要であると考えております。このことにつきましては、市においてやるならば、福島市にあるような県立の図書館をつくることを要望するかという問題がございますが、いずれにしましても、そういう施設がないということはわれわれとしても遺憾でございます。ぜひそういう施設を設置して、一般市民はもちろん特に教育に携わっている方々の資料の活用をする場として施設を設置していきたいというふうに考えておるわけでございます。これはなかなか構造が大きいので、一両年のうちにできるということにはまいりませんが、研究しながらそういう方向を打ち出していきたいと考えております。 なお、教育施設の相談所または教育全般に共通するところも必要だろうと考えております。PTAその他の場を通じて、個々の問題はありますが、全般的な施策をどうするかについても、これはむろん教育研究の一環として活用していきたいと思うのでございます。 次に農政問題でございますが、生産調整についてはご指摘のように、このいわき市におきましても県と同様、国の施策に即応して減反をせざるを得なく、また、食管法を堅持していくたてまえからもその協力を依頼しておけます。そのためにはキロ当たり81円の奨励金を出し、市としては農協の協力を得ながら減反の方策を立てて現在いるわけでございます。しかし一方において、それに見合うだけの農業問題をどうしていくかという基本的な問題がごさいます。農業振興計画をいかにすべきかということはそれは表と裏の関係で一番重要な問題でございます。このことにつきましても、過般来、経済会議を開きまして、いわき市の農業問題はどうあるべきかということで諮問をして、その答申を得ました。私は経済会議の答申は当を得た施策であると考えております。これを執行するかどうかの問題であります。われわれとしては経済会議の答申の方向づけを、一日も早く、実現に移していくということがまず第一でないかと考えております。 それに関連して、農産物の流通機構の整備は前回の議会で論議されております。中央卸売市場については調査費を今回計上しておりますが、45年には土地の買収を終わって46年には建設にかかるというふうにしていきたいと思います。これには国からの起債あるいは助成の措置を講じなければなりません。相当大がかりな市場をつくらなければ今後に悔を残すということも考えられるので、そのようなことのないようやっていきたいと思います。このためには問屋、消費者、業者を一体とした協議会をつくっていかなければなりません。幸いにいたしまして卸売業者も中央卸売市場については三十数回の会合のあとで賛同しており、むしろ前向きで行こうということであります。消費者においても同様であります。いわゆる生産物の価格が非常に安定を欠いております。そういうことでは安心して農業を営むわけにはまいりません。やはり生産物が安定した価格の中において安心して生産できるという態勢を整えるためにも中央卸売市場が必要であります。地域が広いので一中央卸売市場だけでは間に合わないと思いますが、その構想についても成案次第ご提案していきたいと思います。とりあえず中央卸売市場としての位置を決定して、それに土地の買収まで今年度中には終わるというふうに進めていきたいというふうに考えております。 次に、阿武隈総合開発の問題であります。ご指摘のように、46年までには調査を完了すると、これは基本調査ということになっております。これにつきましては、幸いにして県または関係市町村が一体となって、今回提案する前に強力な運動を起こした結果、調査事務所を福島県に置くことになりました。3,000万円の調査費を農林省で組むことになったわけです。46年には調査を終わって47年には事業計画を立てて49年には実現に移していくというスケジュールをもって進めております。これが実施に移るならば、いわき市は田人からあるいは三和、小川、大久等の要素が一変するんではないかというふうに期待しております。これを実現できるように、われわれは市民一体となって運動を起こさなければならないと考えております。 次に、観光開発の問題でございますが、自然条件に恵まれたいわき市を生かすためには、自然条件を生かした観光レクリエーションセンターによる外客を誘致するのが産業開発になるのではないかと思います。しかし、これは自然条件を生かすことがもっとも大事なことであります。せっかくの自然をブルドーザーで破壊されるような観光開発は私たちとしては取るところでないと考えております。その自然をそのまま生かすような観光開発に努力していきたいと思います。幸いにして南は勿来の関から田人、遠野、常磐、湯の岳から水石山、夏井川溪谷、小川、大久等の山間部のルートをつくることによって、京浜地区からの訪客ができると考えているわけでございます。こういう構想も逐次実現するように努力いたしたいと思いますが、この構想全体については、近く、われわれとしても案を煮詰めながら市民とともに努力していきたいと考えるものでございます。東京付近、伊豆半島が観光開発に先便をつけて、現在では外房を中心に観光開発が進められており、東京で近いところで残されたところではこの地域だけだと考えます。そういうことから恵まれた観光資源を十分に生かす方向で今後努力していきたいと考えております。 次に、常磐自動車道の問題でございます。このことにつきましては、ご指摘のように、埼玉県三郷町から平までを昭和41年度に高速道路として閣議決定が行なわれておりましたが、基本計画も実施計画もできてないというのが現状であります。そこで昨年からわれわれとしては、どうしても早く実現しなければならないと考えておりました。4県にまたがる県及び関係市町村が一体となって常磐自動車道の促進同盟会が結成してあります。幸いにして44年10月に全国の自動車道の促進同盟会におきましても、札幌から九州までの間の一本の路線これは5つの区分に分れておりますが、5幹線のほかに常磐線と東京-新潟間の2線がいち早くつくるべきであると結論を得たわけであります。そこで建設省に対して強力な運動を目下展開中でございます。昭和50年までには完成しようではないかということで、全国の自動車道建設同盟会におきましてもそういう構想をもって進めておるわけであります。その加盟団体として、常磐高速自動車道路促進同盟会が4県の関係市町村で組織した促進団体を十分活用しまして、そして、これの実現を期したい。幸いにいたしまして、三郷-石岡間は着手命令が出たわけであります。基本計画を促進しつつありますので、石岡以北が1区間か2区間になるかわかりませんが、実現の見通しを早く立てるように努力したいと思いますが、これにつきましても議会と一体となって努力を払いたいと思うのでございます。なお、この際申し上げることは、地元の熱願によりまして吉田-勿来線、これはご承知のように昔は弥彦-勿来線と言っていましたが、これが昨年12月に国道として編入になりました。あの整備は太平洋と日本海を結ぶ路線として平-新潟間の横断線につけ加えて、並行的に吉田-勿来線の国道が編入になることに目下努力中であります。しかし、工事がおくれてはなんにもなりませんので、地元の熱意を十分国政に反映させていきたいと考えております。 また常磐新幹線と言われるものを早くつくっていきたいと思うのであります。これは近く国会において取り上げられまして、議員立法によって新幹線促進のための法律案ができるやに聞いております。おそらく東京-成田を経て常磐線を通って、そして仙台ヘ結ぶであろうと思います。これもやはりわれわれとしては地元に強力な促進態勢をはかっていかなければならんと考えております。 もう1つは現在ありますところの上野-四倉間の複線化に続いて、四倉以北の岩沼までの複線化を実現することが必要でなかろうかと思います。そういう点と平-新潟間の新幹線を走らせることもいま国会において論議されておりますので、これも実現するようにわれわれは努力せにゃならんと思いますので、この会期中にもこの実現方に努力したいと思いますのでご協力をお願いしたい次第であります。 最後に、市長選の問題に触れられましたが、今後いろいろ残された問題があることは事実でございます。これは市民が選ぶ市長でありますので、市民の要望があれば……(拍手)…(笑声)私もいろいろな問題が重なっておりますので十分考慮していきたいと、こういうふうに思うわけであります。(笑声)     ----------------------------- △吉田栄君代表質問 ○議長(志賀季三郎君) 45番吉田栄君。 ◆45番(吉田栄君) 〔登壇〕(拍手)私は民社党議員団を代表いたしまして、昭和45年度定例議会におけるいわき市の基本的な問題ともいうべき施政方針と45年度予算の関係、長期財政計画、都市開発と基本構想の策定、行政機構等のあり方について基本的な面にのみ触れて質問を申し上げ、市長の答弁を求めるものであります。 当面する1,970年代は、わがいわき市にとってもはげしい変化と進歩の年代でもあります。民社党議員団としてわれわれは、こんにちまで議会運営においても常にいわき市の発展と向上を願いつつ是々非々の方針を踏襲し、住民福祉を前提とする市政推進の役割りを果たしてきたことは、周知とおりであります。なお今後もこの方針には変わりないことを付言しておきます。しかし、昨年の当初議会における市政運営の基本的な考え方として、 1つ、明るく能率的な市政 2つ、あたたかく親切な市政 3つ、力強く前進する市政以上3本の柱をもって、この1年間市政運営にあたってきたその結果は、あまりにも住民の期待にはずれた市政運営であったとわれわれは言わざるを得ないのであります。その例をあげること数多くありますけれども、そのことはこんにちまでの議会の中で、わが党の議員各位が質問し明確にしておりますので本日は省きますが、反省のないところに進歩がないというごとく大和田市政は愛情と決断力に欠けた1年間であったと批判せざるを得ません。 私は、昭和45年の施政方針及び予算を編成する場合、次のような角度から検討し対処すべきと考えております。その点をただいまから申し上げ、具体的な問題は質問の中で明確にして行くことにいたします。 その1つとして、いわき市の長期財政計画5カ年のこんにちの分析はどうか。2番目として昭和44年度の最終補正からみた財政分析はどうか。この問題については、助役等が黒字になるのだといっているようであります。3つ目として70年代におけるいわき市の開発と基本構想についての分析はどうであるのか。以上の分析から検討し、施政方針と45年予算編成の基本となり、この予算遂行のための行政機構は完ぺきなのかどうか。 以上の諸点を頭に描きながら、まず質問事項の第1点、施政方針と45年度予算の大要についてを質問いたします。 市長は一昨日述べられた施政方針の中で、市政執行の基本的な考え方として、市政をあずかって4年を迎えた、その間にあって限られた財政で産業基盤の整備と生活環境の改善を柱としていわき市の建設に努力し、財政経過措置期間の終了をみて市政の一本化のための機構の改革ほか諸問題を勇断をもって実施してきた。その結果、財政運営も軌道に乗り市の基盤づくりが一応形成された。と表明されておりますが、市の基盤づくりが形成されたということは具体的に何を言っているのかお聞きしたい。 2点目として、45年度予算編成にあたって3本の基本方針をあげ、それを基調とした計画から市勢振興計画を早急に策定する必要があるといっているが、その時期、方法等について具体的な説明を求めたい。 さらに45年度予算編成の基本方針として、1、市民に密着したあたたかい市政。2、秩序ある明づくり。3、調和のとれた産業開発。と、いずれも内容を分析すると、自治体として言うまでもなく当然行なわれなければならないものであります。しかし、これら方針を推進するためにも問題は財源であり、財政基盤の確立なきところに町づくりはないと言っても過言ではありません。大型予算と言われるこれら予算を検討するとき私は歳入において、昭和44年度最終予算と45年度予算とを比較してみると、年間予算の編成として不安が生じてまいりますので、数字をあげて市長の答弁を求めるわけであります。 昭和44年度の最終補正予算におきまして市税が約30億、45年度予算で約32億3,000万で、2億2,700万の増、交付税31億3,000万に対して45年度が33億で1億6,800万の増、国庫支出金は約21億2,000万に対し22億7,000万で1億5,300万の増、諸収入、これには競輪収入の6億5,600万円含まれて12億2,000万、45年度予算は競輸収入の7億を含めて14億8,200万で2億6,200万の増、歳入合計で44年度最終補正が113億3,000万であって、45年度予算118億6,300万、差し引き8億円の増額に相なっているわけですが、以上の比較をみるとき競輪収入の7億及び交付税その他のパーセントの取り方に問題はないのかどうか。私は市長提案の30%の伸び率を安全率による25%にして計算するならば、44年度最終補正額113億3,000万に比例するものになると思われますので、歳入財政の確立をみて補正するようにすべきと思うが市長の考え方を求めます。 第4点として、歳入財政をみるとき自主財源の確保に意をそそぎ、さらに国県等に対する事業基準以外の超過負担については、一切の市の財源の持ち出しをしないような態度を堅持すべきと思うが、市長の考え方を承りたいと存ずるわけであります。 質問事項の第2点、長期財政計画についてを質問申し上げます。 わが党は、3月予算編成期にあたり、大和田市長に対し意見書を提出しております。その意見書の中にも第1点として長期財政計画についてを記しているのでありますが、昭和41年10月潜在赤字を含む10億という膨大なる赤字をかかえた財政の中で、市長は、財政再建のため市行財政審議会に諮問し、その答申を受けて議決されて執行してきた長期財政計画が、昭和44年度決算時に実質的に赤字が解消されたととは、長期財政計画によらず当局の消極的な市政執行によってできた赤字解消であるという以外になく、市当局は行政サービスの面で市民に著しく迷惑をかけたことであり、あたたかく親切な市政という市政運営の基本的な考え方にはほど遠いものであります。わが党は住民福祉の向上を基本姿勢として是々非々の立場を堅持してきたが、住民の強い要請である長期財政計画を無視したことは、議会軽視もはなはだしいと言わざるを得ないのであります。なお幾つかの問題点をあげて市長の答弁を求めて行きたいと存じます。 まず長期財政計画策定の趣旨である基本方針は、長期的に財政構造の改善をはかりつつ建設事業に対して重点的に財源をふり向けることであり、計画の期間を昭和43年より昭和47年の5カ年としております。歳入について重点的なものを述べてみるならば、1つ、市税は長期財政計画では44年見込み額約29億3,000万で、今回提案されている最終補正においては約30億であり、約1億円の増となっております。 2つ、地方交付税は、長期財政計画では普通交付税21億2,000万、特別交付税1億8,000万円、合計約23億であります。44年度最終補正は31億3,000万、約8億の伸びとなっております。 3つ、国庫支出金は、長期財政計画では約24億であるが、最終補正21億で約3億の減となっております。 4つ、諸収入の中の収益事業費で、長期財政計画は5億6,000万、最終補正で6億5,000万で1億の増であります。 以上歳入の重点な項目をあげましたが、44年長期財政計画によるならば、歳入合計99億9,500万が44年度最終補正額113億3,300万でありますから、差し引き約14億に近い増額となっておるわけであります。いかに長期財政計画は変革したかということがこれをもって実証されるわけであります。 それから長期財政計画における歳出について述べてみますと、普通建設事業費については、新市根幹事業実施計画の策定を前提とし住民福祉向上のために実施に要する事業の所要額約20億としておりますが、44年3月の現計では約30億となっているわけでありますから約10億の伸びとなったことについては、大きな前進とみることができるけれども、反面、施政方針にもうたわれているように昭和44年度は、財政経過措置期間も終了し市政の一本化のための各地区間の不均衡是正ということから、補助金等も合理化という名のもとに大幅に削られ、その他各地区における行政運営の面にもまた市業務欠除等により住民に不信と迷惑をかけたことも見のがすことはできません。長期財政計画における昭和44年度の歳出合計は、昭和43年度の赤字約6億6,800万を前年度の繰り上げ充用額として計上し、歳出合計約106億6,000万となり、歳入額99億9,500万円によって約6億6,700万円の赤字となる計画であったのであります。昭和44年度当初予算に繰り上げ充用額2億8,300万円を計上しておるその他の数を分析いたしますと、昭和44年度決算には完全黒字計算となると思われるが、簡単に順を示して解明いたしてみますと43年6億の赤字が約3億となり、44年に解消すべき赤字額は約3億となります。44年度補正にて予算を計上し、用地取得等赤字を解決すべき補正として約1億4,000万を差し引くと残額は1億6,000万であります。特別交付税2億3,000万が決定し、昨年12月計上額を差し引くと約1億2,000万の赤字となるわけであります。ところが予備費約9,900万と決定時における不用額等の集計をいたしますと、完全に黒字になることはいなめない事実だろうと思うのでありますが、以上の問題をめぐりまして市長の答弁をいただきたい。 第1点は、ただいままでの私の分析に対しまして、市長はどう分析しておられるか。 第2点は、あまりにも赤字解消に重点を置きすぎた結果、住民サービスが欠除された点については、今後いかなる考え方で対処し得るつもりなのか。 第3点としては、施政方針で長期財政の見通しに立って市勢振興計画を樹立すると言っておるが、現在までの長期財政計画等との関連をどう考えておるのか。 第4点は、長期財政計画は議会の議決事項であります。黒字になるような情勢の変化を分析して取り扱いを明確に議会にすべきと思うがどうなのか。さらに以上質問事項の中から長期財政計画についてのお考えをお聞かせいただきたいと存ずるわけでありますが、この点は明確に議会議決事項との関連において質問申し上げます。 質問事項の第3点都市開発と基本構想の策定についてお尋ねいたします。わがいわき市が新産都市の指定を受けて以来こんにちまで6年を経過して、産業基盤の整備と生活環境の改善を2本の柱として、当時33万余の住民に明るい希望と期待を与えた新産計画は、夢と消えたといっても過言ではありません。その代表的な例を二・三あげてみると産業基盤の整備は港湾小名浜を中心に工業用地の造成をはかり、工業出荷額を昭和45年の時点で3,344億になり、昭和37年の10倍という飛躍的な発展を予想し、産業が発達して市民ひとりひとりが豊かで健康で安心して暮らせる都市をつくることが計画され、いわき市建設の根幹事業として確認されたが、これらは根本から計画がくずれてきたことはご承知のとおりでございます。また生活環境の改善において、工業開発に伴っていわき市の人口が45年に42万人、50年には45万人と推定して住宅用地の造成には、毎年3,250戸の市営住宅を全地区に建設されることとし、道路交通網が進み、市民生活と産業開発に大きな役割りを果たしながら、さらに水資源の活用、ダムの建設、環境衛生都市づくりでは、住民が健康で文化的生活を営むための施策として、約8億余円を計画しておったのであります。その数多くの生活環境の計画は、二・三の例のごとく根本から大きくくずれ去ってきているのであります。新産都市指定を受けて6年、工業出荷額が増加したことも、また進出企業も多くみていることも否定はできませんけれども、しかしただいま申し上げたごとく企業誘致に伴う公害問題、生活環境の改善のおくれに伴う住民の大いなる迷惑等、大きなひずみを出して来たことも見のがせません。 民社党を代表して、昨年3月定例議会に小林周喜議員が市長に対し、新産都市計画に基づく幾つかの問題点を鋭く究明し、新市運営の実際的要請、また専門的立場から進言等を呈しながら行政の中に生かすべきものを質問いたしましたが、その答弁の中で市長は、合併協当時の根幹事業の精神を生かしながら自治体の権限において手直しをし、新都市計画法の実施に伴っての今後の進め方等については、各種諮問機関、研究機関等に委嘱して長期計画を十分再検討したいし、その際は特に議会等で十分検討を願い、草案をつくるうえからもそこで決定して行くことにしたいというようなことを答弁されているが、自来1年市長は、どのような態度をもってこれら諸問題に対処して来たのか明確にすべきと思いますので、この点お伺いしたいのであります。 さらに前述したわが党の意見書の中で、都市開発と基本構想の策定についても申し述べているところでありますが、その中で当市は新産都市指定地域であり、また新都市計画法の指定地域でもあり、県は現在市街化区域、市街化調整区域を指定するこれらの諸作業を進めておったわけでありますが、当時わがいわき市は都市計画審議会の構成はできたものの、いわき市の将来について十分なる論議が当時かわされておらなかった。このことはいわき市が自主的な開発計画と基本構想を持たなかったからでありまして、いわき市誕生以来4年を経過しているこんにち当市百年の大計を立てるのは大和田市政の責務であり、合併時の初心を忘れず、広域的な視野に立って新市の骨組みを構成する施設計画、総合的な諸政策をもつ基本構想の策定をすみやかになすべきものとうたっているのであります。 さらにわが党代表の小林議員は、新産都市をとりまく数多くの諸問題を指摘いたしました。ところが新産都市建設のため大きな役割りと指導をして来た県が2月28日付の新聞で、新産都市の建設計画を前向きの姿勢で再検討すると発表しているのであります。このことはまことに憎いと言わざるを得ないのであります。その内容を要約するならば、県は39年新産建設に着手以来、常磐、郡山地区は企業の誘致、工業出荷額ともに順調に伸びて来たが、この反面住宅対策や上下水道の整備、公害対策など生活環境面に立ちおくれ、新産地区周辺の人口減による労働力不足、さらに米の減産に伴う農地買い上げなど新たなる事態が出てきた。今後は生活環境面の施設づくり、公共用地の先行取得など、生活環境面に重点を置くといっているのでありまして、全くわが党がこんにちまで主張してきたことと同じであると言わざるを得ないのであります。よって都市開発と基本構想の策定について市長の考え方を求めるわけでございますが、さらに市長が施政方針の中で明らかにされている市勢振興計画とは、わが民社党が主張している都市開発と基本構想であると理解してよいのか。言いかえるならば、わが党が指摘しておるいわき市のマスタープランと都市開発と基本構想を考えているわけであります。これと市長の市勢振興とはどうなのか、明確にご回答をいただきたい。また議会にはかると言われておるが、市長の任期期間中に提出できるのかどうか明確にお答え願います。 さらにまた市勢振興計画を樹立するための予算等はどう考えているのか。 以上を大きい質問項目の2点目として質問いたしたわけであります。私は財政の確立なきところに幾ら立派なお題目をならべても問題があろうと思うので、この点明確にご回答をいただきたい。 最後に質問事項の第4点として、行政機構についてをお尋ねいたします。 日本一広いいわき市の行政組織再編成についての基本的な構想は、財政経過措置期間の終結により、最少の経費でもって最大の効果をあげるべき自治行財政運営の基本において行政執務体制が確立されなければなりません。このため行財政の基本運営に立って、住民サービスと事務能率の向上がはかられるように行政組織を整備する必要があると思考するが、その方針の第1点は、広範な市域にある当市の特殊事情を考慮して、各種行政需要に対処する組織を再編成すること。 第2として、行政運営における合理化、能率化を推進して、住民サービスと運営の経済性、迅速性を高めること。 第3として職員の能力と職員の献身的勤労意欲の向上をはかり、少数精鋭主義をとり定員管理体制を確立すること。 以上の基本論の立場から行財政審議会が答申をした1室7部1所と13支所3出張所で運営するということが昨年2月臨時議会において議決され、4月1日より実施となりまして、以来1年間運営されて来たわけでありますけれども全国に類のないこの行政機構は幾多の問題をかもし出し、住民サービスの低下はもちろん行政運営に大きな矛盾等が出て、こんにちまで議会の質問等を通じまして幾多指摘されたことも周知のとおりでございます。 私は本日前段において、いわき市の基本的問題等について質問いたしましたが、昭和45年度施政方針に基づく市長のいう大型予算の遂行とわが党が主張する長期財政計画の問題、市長のいう市政振興計画、わが党のいうマスタープラン、山積するこのような問題を処理して、いわき市百年のいしずえをつくる時期に過去1年間の行政の運営をみるとき、可急的すみやかに行政機構の改正をすべきと信ずるのであるが、市長はどのように考えているのか。明確に過去1年間の諸般の問題をめぐって、市長の回答をお願い申し上げる次第であります。 さらにまた、いわき市行財政審議会は市長に対し答申書を提出するにあたり、当市の広域的特殊性にかんがみ特に次の諸点について留意されることを強く期待し、かつ要望するものとして次の項目を明確にしております。 第1、真に行政の一体性をはかるためには、すみやかに本庁舎の建設が実現されるべきであることをうたっております。幸か不幸か前段で私が申し上げたように、いわき市の大和田市政は愛情と決断に欠けると申し上げたように、本庁舎の位置については議会できめていただいたようであります。しからば、この第1点の本庁舎の建設が実現されるべきであるという行財政審議会の答申に対し、第1日目の提案説明の中で議案として出したいような話がされておりますが、私は、全くこれこそが議会において場所を決定してもらった以上は、行財政審議会の答申をすなおに受けるならばなぜ今議会開会第1日に庁舎建設のそういう問題の手続きができなかったのか、明確にご回答をいただきたい。 第2、真に新機構の効率性を高めるためには、公平かつ適正な人事配置を勇断され、相互信頼のうえに立った権限委譲が行なわれるべきであります。しからばこの権限委譲はどうであったか、内容を明らかに願いたい。 第3、他に類例をみない大規模な機構改革という現実に着目され、今後とも適正化のためには行政管理及び考査に意を用いられるべきであると申し上げている。しからば、この第3点の行政管理及び考査について、こんにちまで市長は議会の中で先ほど申し上げたようにその矛盾を追求され、その所管すべき行政管理及び考査の中で、具体的にどのように機構改革にあてようとしておられたのか、こういう問題を明確に願いたいと存ずるわけであります。 最後に、先ほど新政会代表吉田議員の質問である市長の立候補の問題に対し、市長は住民の要請があればと答えているようでありますが、私はいわき市百年の大計をつくるうえに立ちましてただいままで申し上げたような、いわき市の基本的な問題を70年代にわたって進めようとする場合に、市長はいままで申し上げたような内容に対する明確な政治姿勢と態度というものを市民に本会議場を通じて明確にすべきと思うのであります。こういう点について「住民の要請があってから……。」ということはあまりにも人をくった答弁と申し上げざるを得ないと指摘を申し上げておきます。さらにただいま申し上げた内容について明確な回答を得べく民社党議員団を代表いたしまして、定例市議会の代表質問を終わらせていただきます。 ○議長(志賀季三郎君) 市長。 ◎市長(大和田弥一君) 〔登壇〕45番吉田議員のご質問にお答えいたします。なお、いろいろ具体的なご指摘がございましたので、私が聞き漏らした点、あるいは舌足らずのところがあれば再質問をお願いいたしまして、私自体で申し上げる問題は極力私から申し上げますが、それ以外のものは関係部長のほうからお答えさせることをご了解願います。 第1点のご指摘は財政問題についてでございます。昭和41年合併以来、大きな歳入欠陥を残しながら合併したが、この間にあって市政は住民の期侍した合併の成果をあげなければならない。しかもこの財政の欠陥と市民の期待に沿うという両立において、議会のご協力を得ながら市政が運営されてきたわけでございます。そこで市政の基本となる財政問題につきまして、-昨年来財政審議会をもっていろいろ論議を重ね、47年度までにはこの財政欠陥を完全に補うという方向のもとに財政計画を立てようと、こういう結論を得たわけであります。それに基づきましてわれわれは、43年から市政の軸となるべき財政の運営をはかってまいったのでございますが、私が当時から申し上げたように、単に赤字を解消するということだけならば楽である。しかし市民の要望にこたえていろいろな投資あるいは施設をしながら、しかも財政の健全化をはかるというそのこと自体非常に市政としてもむずかしい問題であるが、一本やりの方向ではなく、やるべき性質のものはどんどんやって行く。どうしても市民の要望にこたえなければならんものはやって行き、その間にあって財政の健全化をはかる。やるべきところはやりながら財政の健全化をはかるということは、43年以来私が議会並びに市民に訴えてきたところであります。 それで実際に財政問題から見ますと、全国の市の財政の伸び率といわき市の伸び率は、ほとんど平行線をたどっていて、非常にダウンしているというような結果になってないことは、吉田議員もご承知のとおりであると思います。私は、全国の伸び率と同等の伸び率を示しながら、しかも財政の健全化をはかって行くというむずかしい問題に取り組みましたが、幸いにいたしまして交付税の伸びの非常な増大、競輪収入の非常な伸び、この2つの財源にささえられまして、それが大きな柱となって、一方において財政の支出を多くしながらもなおかつ健全化が予定どおりというよりも予定以上に促進しつつある。そして健全化がはかられているという実態になりましたことは、私は市民とともに喜びにたえないと考えるのであります。 それで47年度までの財政計画を立てたけれども、時代の変革と市民の要請と社会科学の現況からみましてもう一度反省を加え、財政の長期計画を立てる必要があったのじやないかというご指摘でございますが、私も同様に考えております。しかしながらこれにつきましては、なお一部の黒い雲のあることはご承知のとおりであります。と申しますのは、昭和47年までには地方交付税の税率がどうなるであろうか。いま国におきましては、国税三税の32.5%を地方交付税に回しておりますが、これは再検討を要するということを常に大蔵大臣が今国会で述べております。大蔵省としては、地方財政が非常によくなっており、国の財政が非常に逼迫しているので、この際地方交付税の算定基礎と交付額は別途にすべきではないか、もう少し下げるべきではないかという非常な大更正が行なわれたことはご承知のとおりであります。しかしながら、そうではなくむしろ地方交付税は特別会計として、別途の地方税に返されるべき独自の財源としてとるべきであるというのが、われわれ並びに自治省の主張として、それが現在研究の対象になっております。しかし、国全体としては、佐藤総理もいわれたように、地方交付税は十分研究の要があるという含みのある論議もされている現況において、果たして将来どうなるであろうかということが一つあります。 もう一つは、いわき市は合併した14市町村の財政需要を総計したもので算定をしていただいております。このために交付税額が多くなっておりますが、この期限が47年で切れるわけであります。そうなるとその後においてダウンすることは明らかでございます。しかし国税の総額は上がってまいりますから、その間においてある程度ダウンしても、それを補ってなおかつ相当の金額がここに出てくるんじやないかということの観点から、なお十分そういう点について検討を加えなければ、長期財政計画をつくるということになりかねないのじやないかという心配を私は持っております。 それからもう一つ、財政計画策定にあたりまして、いわゆるギャンブル収入の問題がございます。ギャンブル収入は東京都をはじめとして47年にはやめるという線までいっております。これについて国としては、そういう考えは現在のところ持っておりません。しかし、これにつきまして、来年度から総収入の0.5%を公営企業金融公庫に納付し、そして公営企業金融公庫の金利を7.4%あるいは7.3%から数%引き下げ、それを財源とするということが法案として今国会に出ると私は思います。競輪主催の府県並びに市町村でも大体その点については了解をしているわけであります。そういたしますとこの点が一つあるわけであります。そういうあれやこれこれやを勘案いたしまして、われわれは計画を立てなければなりませんので、もうしばらくその状況というものを、長期展望というものを見守りながら行かなければならんのじゃないかと考えているわけでございます。 それから今回の財政好転は、消極財政の結果生まれたものであるというご指摘でございますが、先ほども申し上げましたように私はそうは考えておりません。絶対考えておりません。出すべきものは出しながら、幸いにしていま申し上げたような財源措置か講ぜられたわけでございます。一つには補助金あるいは国庫支出金がわれわれの念願するとおりの額を確保できたといっても過言でない。むしろそれ以上に出た分もございますが、そういう財源措置が講ぜられたためのものでございます。投資的経費がそのために少なくなったというふうには私は考えておらないのであります。 なお、いろいろ市民に迷惑をかけた問題、たとえば補助金等についてぶっ切るというようなことのご指摘ですが、市全体としてはご案内のように非常にでこぼこがございます。それを一本化せにゃならん。各地区バラバラで、同じ事業、同じ団体に対する補助金が多いので、これは一番補助率の高いところに頭を合わせれば一番楽ですが、そういうわけにはまいりません。そこで補助金等調査会において十分論議された結果、こうすべきであるという答申に基づいてわれわれは補助金等の規制をしたのであります。 私自身いろいろ反省しておりますが、元来いわき市の財政構造は若干ゆがんでいるというふうに、極論するとそういうふうに見られがちなのであります。というのは、一つには経常経費があまりにも大きすぎるというような批判があるわけであります。たとえば、補助金とか人件費、物件費の占める割合が他市よりも多いのじゃないか、こういう批判が実はあるわけです。現実にわれわれは14市町村を合併して、一挙に合理化するという名のもとに直ちに人員整備をしたり合理化をはかって、住民に不便を来たすというわけにはまいらない。そこに漸進的な進め方というものがあるわけであります。必ずしも私は質問が当たっているとは考えておりません。 しかしながら、やはりこういった経費は少なくして投資的経費に回して行くというふうに持って行きたい。われわれは他市にないような財源を持っておりますので、それを活用して行くことがわれわれのつとめであります。しかもそれは市民のために市民が本当に希望するような線に沿うた使途に充てていかなければならないと考えております。 次に都市開発というか、いわき市の社会発展計画の中にあって、当然市がすべきものは市がすべきてはないか、計画を立てるというが一体いつなのかというご指摘でございます。この問題につきましては、基本は何と申しましても合併の憲法でございますところの新市の根幹事業を柱として行かなければならん。これは合併の憲法でございますので、われわれは憲法を守る必要があると考えております。しかしながら時代はご指摘のように非常に変革しておりますので、手直しをする必要がございます。そこで産業全体、また経済全体の見通しというものはどうあるべきかということが、経済会議等の諮問を経て一つの成案がなされたわけであります。それに基づきこれを下におろして、実際にその計画を乗せて行くためのいろいろな公共的事業につきましては、われわれはもっときめのこまかい計画性を持たなければならんのではないかということで、吉田正議員にもお答え申し上げましたように専門的な立場から学者グループ、あるいは中央官庁グループ、その他を加えて諮問機関をつくったわけでございます。昨年議会のご同意を得ましてつくりましたが、その資料が目下提供されております。今年度中には大体の案をつくって行きたい。少なくともこの秋くらいには中間報告を得られるくらいに努力をいたしたいと考えております。しかし、甲論乙駁、いろいろ論議を重ねた結果でありますから、何月何日とはいえないが、中間報告は少なくとも秋くらいまでには出していただくよう担当のほうに申し上げてございます。それをわれわれは一つの指針として取り上げて行きたい。というのは、すでにもう46年度からの事業計画も立てていかなければならんという中にあって、最終結論はともかくとしても、そういうスケジュールで進めるようお願いしてあり、その結果が出たならばまた報告申し上げてご批判をいただきたいと思うわけであります。 次に職員の関係と行政事務の問題でございますが、44年4月から大々的な行政機構の改革をして新市一本の行政をやって行くための素地をつくったわけでございます。しかしながら現況からすなおに申しますと、ご指摘のようにある程度手直しをしなければならない部面があります。一つは権限委譲の問題、一つはやはりその間にテクニックとしての問題、こういう面が私1年の反省としてあります。これにつきましては、なお十分新年度に研究を加えながら、なるべくそういう手直しを早くできるものはして行くというふうにして、権限の委譲もある程度思い切ってやって行くような構想が立てられるならば非常に幸いであります。たとえば工事請負についての問題等いろいろあります。そういうものについての権限委譲、それから組織等につきまして若干の訂正が必要であるというふうに反省しております。いずれそのうち私の案ができるであろうと思います。することはやぶさかではございませんが、この機構なり組織というものは、市民になじんできて初めて効果を発揮するわけであります。なじむひまもないうちに変革するということになると市民はまた迷惑をこうむるということになります。税金で言うならば、悪税も長期にわたればこれはよい税金になるという例がございます。そういう問題についてもあまり朝令暮改、思いつきではいかんと思いますので、十分考えていかなければならんと思う次第でございます。 なおこれに関連しまして、行政考査あるいは管理等その結果についての活用度が足らんのじゃないかというご指摘でございます。この件については、私のほうに考査機関がございますのでもっと活用しなければなりませんし、またそこに市民の側からみた面、行政考査の事務的な面からみた面、能率化の面、その他いろいろの問題がございます。そういうものは、むしろ十分に取り入れながら行かなければならんというふうに思います。全体的に、たとえば税金等についても機械化する時代で、コンピューターの導入という問題についても前向きにこれからやらなければ、おそらくいかんのじゃないかと思います。少なくともコンピューターの活用という点については、専門的な知識を持った職員がおリませんので、そういうものの研修を45年度にはやって行きたい、こういうふうに考えております。以上足らんところがございますかも知れませんが、再度ご指摘があればお答えをいたしたい。 なお最後の市長選挙の問題でございますが、前の吉田議員にお答えした程度でごかんべんを願いたいと思います。 ○議長(志賀季三郎君) 45番。 ◆45番(吉田栄君) 再質問は避けたいと思いまして具体的に質問をしたのですが、意の通らない点があったかどうか、私の意に沿うところの答弁をいただいておりません。 しかし私は、わが党を代表して基本的な問題について触れたわけでありますから、あとこまかい点について、市長答弁の漏れている点については、私どもの議員がそれぞれ委員会におりますからそこで解明をしていくということで、再質問は取りやめます。 ○議長(志賀季三郎君) 暫時休憩いたします。              午後0時 休憩     -----------------------------              午後1時12分 開議 △発言の発正 ○議長(志賀季三郎君) 再開いたします。この際市長より発言を求められておりますのでこれを許します。市長。 ◎市長(大和田弥一君) 〔登壇〕先ほどの吉田議員のご質問に対する答弁の中で、「競輪収入の5%」と申し上げましたが、「総収入の0.5%ということに議員立法になるであろう。」ということであります。5%というふうに私発言したように記憶しておりますので、訂正をさせていただきます。 それから14市町村そのままの財政計画に基づく地方交付税は、47年で切れてしまうということでございますので、その点お含みおき願います。     ----------------------------- △鈴木裕文君代表質問
    ○議長(志賀季三郎君) 48番鈴木裕文君。 ◆48番(鈴木裕文君) 〔登壇〕(拍手)48番鈴木裕文であります。私はいわき市公明党議員団を代表いたしまして市政一般について質問いたすわけでありますが、先輩議員の質問に対する当局の答弁でやや了とするものを除き二・三点にしぼってお尋ねいたします。なお計数的な点については同僚議員の委員会に所属するものは当該委員会で行なうこととし、また佐川議員の一般質問の発言の機会もありますので、きわめて端的にまとめて、主として市長の市政担当の最高責任者としての姿勢に重点をおいて質問いたしますので、明解なるご答弁をお願いいたします。 ます最初に、児童手当の支給を制度化されたことはまことにけっこうであり、その功についてはいささか評価すべきところはあるかと思いますが、多子家庭の生活の一助としてはきわめて少額であり、県内で実施している喜多方市や坂下町等よりも低額であることはあまりにも政策的であるように思われるのであります。この点は新政会の吉田議員の質問とダブりますが、増額の見通しについてお尋ねいたします。 私が大和田市政に最も望みたいことは、「信頼と調和の社会」の建設であります。何よりもまず人間性尊重の社会でなければならないと思うものであります。人間性尊重とは、人間生命の限りない尊厳に基づき、各人各人の個性を重んじてあらゆる人が最大限の幸福な生活を満喫していけるようにすることにほかならないものと存ずるのであります。社会の一切の機構も変化もそのためにあるものとして政治をとるのが人間性尊重の政治であり、それによって築かれる社会こそわれわれの理想とする社会であると思うものであります。時代の趨勢が真に人間性に立脚した中道主議、中道政治を求めて動いていることは明らかであります。しからば中道政治によって築かれる社会というのはいかなる社会であるのか、私はこれこそが「信頼と調和」を基本理念とする新しい社会であると叫びたいのであります。ところが現今の社会は国内的にも国際的にも根強い相互不信と、そこから起こる紛争によって動かされているのではありませんか。この不信と対立し、現状を克服するにはもっと本源的な人間性の基盤に立った中道政治による以外になくなってきていると思う次第であります。同じ人間としてお互いに信頼し合い、幸福な生活を求める権利を尊重し合っていく、この「信頼と調和の社会」の建設こそが急務であろうと思う次第であります。 市長は昨年の3月定例会において、その基本方針として、1つには、明るく能率的な市政、2つには、あたたかく親切な市政、3つには、力強く前進する市政、以上の3本の柱を立てて勇断をもって行財政の運営に当たるとの決意を披瀝されたのであります。われわれ33万市民は市長のこの確信ある言明に対して大いなる期待を寄せてまいったのであります。しかるに、その行政実績においては、既存の公害問題に対しての明るい見通しすら立たず、その不安は住民の生存権すら脅かされようとしている現状であります。 公害対策費として約800万円を計上し、大気汚染測定器、塩素ガス測定器、オクターブ分析器、レベルコーダーなどの各種測定器を拡充されることもさることながら、住民の健康管理等の問題にもっと比重をおくべきであろうと思います。よって私は、最近の公害の特色として次の3つがあろうと思います。 その第1には、公害の発生回数の激増であり、第2には、公害の回数が増加したことであります。また第3には、公害の影響する地域が拡大されたことであります。 以上のことから、強力な公害監視センターの設置と、公害対策をさらに一歩前進させる意味において、公害患者に対する見舞い金を支給する制度のようなものをつくって、住民の不安にこたえる意見がありやいなや、市長の所見をお伺いしておきたいと思います。 次に本年の1月中旬頃に、国鉄水戸管理局より勿論西口駅廃止の通告があり、その理由の主なるものは、乗降者の減少と国鉄合理化計画のための2点の理由からであると聞いております。本件については去る42年頃だったと思いますが、廃止の方向にあると感ぜられるような、勿来駅構内の拡張問題とともに表面化してきた問題だと記憶しておりましたところ、本年1月中旬になって水戸鉄道管理局より相当強固な廃止への申し入れがあり、その折りに東口の駅舎拡張新築の意図等も示されたようであります。この間何回か地元住民から存置の要望が出され、市長も一時は取り上げたようではありますが、きわめて消極的であり、市長の上級機関に対する態度は地元住民より市政に対する信頼と調和を欠き、住民は数回にわたって地元選出の国会議員を訪ね、あるいは運輸省を訪ねるなどの運動が続けられてきたのであります。99%廃止の公算があるにもかかわらず残る1%に望みをかけて地元住民はこの西口駅への執着と、利用者の敬蒙に運動を展開している現況であります。一作6日は国会を訪れて地元選出の国会議員を通して運輸委員会に陳情し、また本日は水戸鉄道管理局にさらに陳情に行っているようであります。かようなきわめて平和的な考え方と行動こそが市政発展の積極的な協力者であると私は思います。かような熱意こそ市長はすなおに受けて市民のまっ先に立ってこの種問題に取り組む意思があってしかるべきと考えるが、この点どのように考えているのかお尋ねいたしたいと思います。 次に本年度の基本方針は「市民に密着したあたたかい市政」「秩序ある町づくり」「調和のとれた産業開発」以上3点のようでありますが、市長は「市民に密着したあたたかい市政」の項の中で「各個人間の断絶を克服するために対話による市民の立場に立ったあたたかい市政の執行をしてまいることが肝要と考えるのであります。」と決意を述べておりますが、この中の市民との対話の場所をどこに求めようとしているのか、またその方法等についてもお尋ねいたしたいと思います。 私の質問は以上でありますが、先ほどの民社党の吉田議員の質問に対して、「要望があったからこういう方法をとったのだ」などと、あたかも誤解されるような言動のないよう要望して、私の質問を終わります。 ○議長(志賀季三郎君) 市長。 ◎市長(大和田弥一君) 〔登壇〕鈴木議員のご質問にお答え申し上げたいと思います。 第1点は、児童手当につきましてもっと増額する意思がないかと、あまりにも飾りだけに過ぎないような額であるというご指摘でございます。正直に申しまして、児童手当としてはきわめて少ないということを私自身としても自覚をしております。ただ先ほども申し上げましたように、この手当というのは抜本的には国においてやる性質のものであり、地方自治体としてこれをやることは好ましくないというのが政府の方針であり、自治省においてもそのような見解を披瀝しております。地方自治体にそのような金があるならば、ほかに使うべきであるということでございまして、そのような余裕はあるはずがないのではないかというわけでございます。それならば国ではいつからやるのか、ご承知のように44年からやるというようなことを耳にしそしていろいろの方策を立てたわけでございます。ところが実際国の予算面からは出てこない。45年度を期待しておりましたがこれも同様でございます。われわれとしてはこの問題はぜひ実現したいというのが念願でございます。しかし国が45年度もやらないというような実態のもとにおいて、それを地方自治体がやるということについては、これは見ようによっては地方自治体の行き過ぎであろうというようにも考えられますが、しかし、このわれわれの念願というのはじっと待っておられる問題ではないのであります。いくら陳情をしてもなかなか容易ではなく、こういう熱意というものが市民自体から起こり、市民自体からこういうものを解決してくれという熱願が全国民にも行き渡っているこんにちにおいて、いわんや市当局としても、やはりそういうことについての熱意ある意思というものをいくらかでも示すことが国の施策を促進させるゆえんではないだろうかと、こういうことで私はこの児童手当の制度をつくったわけでございます。したがって、現下の経済面から考えても月5,000円なり6,000円くらい、年額にしても五・六万円くらい出さなければ児童手当のようなものにはならないわけであります。しかし市の財政からいってそれは不可能であり、国本来の仕事の促進剤としてご理解願いたいと思うのでございます。 次に鈴木議員のご指摘のように、いろいろと社会福祉的な意味からいって、この社会のあらゆる面の変革に応じたひずみというか弊害が出てきており、その一つとして問題になっているのは公害の問題で、これは交通公害も含めてですが、これは各種企業によって亜硫酸ガスあるいは一酸化炭素とかいろいろとその種類が多様化しつつあります。公害の種類も多様化し、住民の健康がそこなわれていくというのが日本の現況であり、世界の現況であるわけでございます。明日から世界各国の権威者が日本に集まっていろいろと公害の問題について検討をするということを聞いております。そのくらい世界的な問題でありますが、いわき市におきましてはご承知のように小名浜臨海工業、それから勿来工業地帯の両地区には公害というものが非常に出てきております。それをわれわれとしては無視することはできないので、できるだけの施策を講じなければなりません。住民の健康管理につきましては、幸いにしまして採算というのは度外視をして奉仕的に医師会の協力を得ていろいろと健康の診断等を行なっております。しかしご指摘のように、これで万全というふうには考えておりません。これについてはもっと強く取り組んでいかなければならない。それにはまず発生を防ぐということに第1点として力を入れていかなければなりません。そういう観点から発生源をつきとめるというために監視の体制を整え、また新しい企業については必ず公害の絶無を期するための協定をしていくことが必要であり、ただ慢然と新しい企業を受け入れるということではなくて、公害発生のおそれがあればその企業者との間に協定をし、覚え書きを交換して絶対にこれこれこれの施設をすべきであるということから、絶対に公害を起こさないという確約をいたしたうえで企業誘致をはかっていくということで、まず公害の発生源から防いで行くという体制を整えていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。なおただいま申し上げましたような点で、現在起こっている人に対する公害についての健康管理のことにつきましては、なお一そう万全を期していきたいと思うものでございます。これについては、公害によって悩んでいる者に対しての見舞い金をおくる必要があるのではないかというご指摘でございます。これは今後の問題として研究させていただきたいと思います。 次に勿来駅の西口の廃止の問題でございますが、勿来駅の合理化によって昭和36年に廃止するという意向が国鉄から出されたわけでございます。これが住民、特に支所からの陳情によってこんにちまでに至っておるようでありますが、国鉄といたしましてはご承知のように、国鉄財政の大赤字、いわゆる年間とにかく一千何百億というこの赤字のままでは、国鉄は野たれ死にになってしまうということから、鉄道審議会におきましてはご承知のように、2,600キロにわたる不採算路線を廃止するとか、あるいはいまある駅でも無人化をしていくとかというような構想が逐次実施に移れつつあることはご承知のとおりでございます。そこでわれわれとしては、ぜひこの西口駅を存置させておきたいということでありましたがそのことに対するわれわれの取り組み方が薄いのではないかというご指摘でございます。私としてははなはだ心外と考え、この点については水戸鉄道管理局、それから国鉄総裁、常務理事、各本庁へと各般にわたって10数回陳情を重ねてまいってきております。しかしながら、国鉄側の全国的な命題として西口の廃止はその一環としてやらざるを得ないというのが現況であり、それによってわれわれの願望が入れられないという状況になっているわけでございます。決して私たちはこれを漫然と放置しているやのごときご発言でありますが、私はそのような気持ちでいるわけではないということをはっきりとこの際申し上げておきたいと思います。なお一そうわれわれとしては何らかの方策を講じられないかと、少なくともバスで通う者については現況どおり、ことに朝晩についてはいちいちぐるっと回って行くというようなことのないように、特にラッシュ時の改札だけでもやってもらいたいと、少なくとも事前の策としてデットロックにおちいった際にはそういう緩和策を講じさせるというのも一つの方法ではないかと、そういうふうに考えておるわけでございます。 それから最後に、市民との対話の問題でございますが、このことについては市長に就任以来いろいろと各部落、あるいは各地区ごとに参りまして、市民との対話の場をもったわけでございます。ただ日常仕事に忙殺されている結果、その回数が私の意のごとくならないということは私として非常に気にかけております。ぜひ市民一人一人との間の対話の場をもちたいということは今後とも一そうの努力をいたしたいということを申し上げておきたいと思います。以上でございます。     ----------------------------- △星昭光君代表質問 ○議長(志賀季三郎君) 次に14番星昭光君。 ◆14番(星昭光君) 〔登壇〕(拍手)14番社会党の星昭光であります。私は社会党議員団を代表いたしまして、昭和45年度当初予算編成にあたる今定例会において、今後のいわき市政のあり方について市長の所信を明らかにしてまいりたいと思います。 私の質問は、先輩議員と少し重複するところがあると思いますがお許しいただきます。質問事項は、財政問題、農政問題に対する方針、公害対策、港湾整備と開発、建設行政、交通安全対策についてそれぞれ質問してまいりたいと思います。 まず質問の第1点は財政問題についてであります。いわき市発足以来、現在までの大和田市長の財政方針は健全財政と称しまして、地方自治体独自の立場や住民要求に即応した形でない、消極予算であったとの意見もあるわけであります。いわき市発足にあたり先食い的財政の投入がなされ、赤字財政の中で2カ年のタッチゾーンがあったことは事実でありますが、昨年長期財政計画が打ち立てられ5カ年計画により解消していく方針であったと思うのであります。しかしながら、1カ年余にしてその計画を大幅に変更する必要が生じたという状態を、一面には、市長と関係担当者等の努力によって急速な財政好転を来たしたと見る向きもありましょう。しかし一面には、長期財政の5カ年計画が1年にして変更しなければならないようなものを何のために苦労してつくったのか、市長とその関係者の財政見通しの暗さを如実に表わしたものだとの見方があることも承知しなければならないと思います。この点を市長はどのように見ているのか。この長期財政計画を変更しなければならないとすれば、その時期はいつなのかについてお示しいただきたいと思います。 また合併時点における財政見通しについてもこれと同じことがあったのであります。大和田市長は、14市町村の合併を促進し実現させ、33万市民にバラ色の夢を抱かせ、非の打ちどころのない計画を持って市政執行にあたってきたのであります。ところが43年、44年は緊縮財政の中で、住民に対しても予算がないの一点ばりで補助金、助成金の削減、要望事項についても思うにまかせず窮乏を強いて来たのであります。ところが今年度は財政が急に豊かになったかのごとく、昨年は10%強であった伸び率が今年は前年度比約30%の伸びで27億4,200万円を増額し118億6,344万3,000円の、当初で100億円をこえる大型予算を組んだとして、これは大和田市長の手腕であるごとくマスコミも報じておるのでありますが、44年3月補正実績は113億3,378万5,000円であり、当初予算比はそのまま額面どおりに受け取られないのであります。昨年と本年の予算編成が大きく変貌して来た理由についてお尋ねいたすものであります。 また予算の伸び率について福島県の予算を見ますと黒字決算を続けてきているのでありますが、44年度の前年度対比は17%、45年度は14%と今年は低下をしておるのであります。いわき市はこれに比較して10%から30%へと急な伸び率はどこに起因しているのかお知らせいただきます。もとより市の財政は長期的安定財政の確立こそ望まれるのでありますから、明年、明後年以降もこのような高率な伸長予算が組めるのかを合わせてお伺いします。もし、それが不可能であるとするならば、今年度の予算はまことに不安定であると言わなければなりません。そして今年は何でもやります。つくります。補助金、助成もいたします。……ということで、いわゆる今年10月に向けての市長選挙対策予算であるかと受け取られるのでありまして、まことに憂慮されるべきところがありますからこの点についても明快なる答弁をお願いいたします。 次に、農政に対する方針をお伺いいたします。1つは米作問題についてであります。私は43年12月定例会において国と県の米づくりに対する方針が違うことにかんがみ、本市の方針をただしたのでありますが、市長は「県の四・六米づくり方針に沿い、今後も米づくり運動は推進しなければならない。反収を上げて農民所得を多くし、そのための技術指導をやって行かなければならない」と答弁しておったのであります。このことからして市長は国、県の政策をそのまま市政に推進して行くのだと言明したことになろうと思います。そしてその方針に治って農林部は農家に対する指導を続けてきたわけであります。直接住民の生活に影響を及ぼす地方自治体が、このようなことでよかったのでありましょうか。ところが昨年9月13日、当時の長谷川農林大臣が産業会館で講演をした際に、「生産者米価を上げないのは農家を守るためであり、一方、うまい米をつくり、自主流通米として米の消費をふやすのだ」と言っておりました。また、「総合農政によって今後の農家経済を向上させ、主産地形成を行ない、希望すればドンドン金を融資します。農家の方は政府資金を大いに利用してほしい」ということでした。しかるに、どうだったでしょうか。それは農家のためのものではなく、衆議院選挙における自民党政府のための農政であったのです。なぜならば、農家が米を生産するためには諸物価の高騰により、肥料や防除薬品が値上りし、労賃が高くなり、農機具類も性能はよいが高価なものを買わねばならないということで、米の生産のための経費が非常に増加しておるにもかかわらず、生産者米価は据え置きにされたのです。一方、消費者米価を上げないといいながら自主流通米という魔術のヤミ米として10キロあたり300円以上、1俵で1,800円以上高く買わされておるのが現状であります。生産者には高く消費者には安くという食管制度はどこへやらの状態ではありませんか。それに加えて昨年まで農業構造改善事業、基盤整備事業あるいは土地改良と称して開田や整地作業を行ない、農家は補助金はあるにしても制度資金を借り入れ、10アール当たり7万ないし12万円の投資をしてしまい、今後の返済に苦慮している例は少なくないことを聞くのであります。このようなことで、はたして農家は守られていると言えるでしょうか。このような状態の中で、今回の生産調整と称する米づくり制限が加えられて来たのであります。木村知事は3万9,200トン、大和田市長は2,898トンの減産を農家の了承を得ないままに引き受けて来たのでありますが、このことは市長のいう市政は、国、県と異なり、市民に直接密着したものでなければならないとの考えからすると大きく差があると思うのでありますが、この点いかがなものでしょうか。また2,898トンの減産は反当たりの平均収獲量から算出すると668ヘクタールに及ぶのでありますが、この面積も休耕あるいは作付け転換をさせることは非常にむずかしいと思うのであります。市長は休耕をする農家にどのように対処し、作付け転換をする農家にどのような指導をしていくのか。またその作物は何を選ばせるのか具体的にご指示願います。そして市長が示して、そしてその指導を受ける農家が卒直に受け入れる態勢にありましょうか。農事組合ごとに話し合いを持ちはじめたと聞くのでありますが、その状況はいかがなものでしょうか。また昨年まで四・六米づくりを指導して来た農林部職員が今度は米をつくらない指導をしなければならないこの矛盾をどう理解したらよいのでしょうか。現在農家では田を耕し始めております。3月中旬には苗しろの準備が進められ、種まきが行なわれるのであります。よい米をつくるための種子のあっせん指導はどうなっていますか、早急なる方針が打ち出されなければならないと思うのでありますが、その対処策を知らせていただきます。また私は、総合農政、必ずしも農民のためのものとは理解できないのでありますが、市の具体的方針をお聞かせいただきたいと思います。 市長は、阿武隈山系開発に力を注ぎ、大規模畜産地帯の造成をはかると言っておりますが、酪農の前途は必ずしもバラ色ではない、農家は米の二つの舞いになるのではないかと心配している向きもあるのでありますが、市長の考えはいかがでしようか。合わせて休耕、作付け転換による農家の所得減に対する対策はどうか。また46年度以降の休耕、作付け転換は継続していくのか、あるいはまた所得減による減税対策はどう考えているのかお伺いいたします。 次に、公害対策についてお伺いいたします。公害問題についてはいまや社会的に大きな話題を引き起こし、毎日のようにマスコミによる報道がなされており、国も力を注ぐ様相がみられることは喜びとするところであります。市長は、今回の施政方針の中で現在起こりつつある公害の排除のため積極的に対処して行くことを約束しており、そのため機械器具等の整備をしながら科学的解明を強化して企業の発生源を具体的に指摘し、施設改善のため指導監督を強化して行くことに加えて、公害防止のため企業と協定を結ぶことも明らかにいたしましたことはまことにけっこうなことであります。この決断に対し心から敬意を表します。なぜならば、このことが実現されれば公害は絶対にあり得ないからであります。しかしながら、いわき市の現状を見るとき、あまりにもお粗末であると言わなければなりません。現に、勿来、磐城地区には対策委員会が設けられ自主的にその活動をしておりますが、この委員会は作物に対する被害対策を重点においてありますから出たとき勝負で、科学的な解明はほとんどなされておらず本質的な解決になっておらないのが実情と申せましょう。しかるに、この地域の中で人体への影響も大きいのでありまして、その例を参考に一、二を申し上げ今後の対策をお願いしたいと思うのであります。 勿来地区のある工場近辺に住んでいた方はいままでぜんそくのようにせき、たんが出て苦しい毎日を送っておったのでありますが、体があっての物種と種々苦慮しながら他地区に家屋を新築して転居してからは、せきもたんもなくなったと聞いております。また工場近くの民家において作業中、工場のガスが流れ出しそれを吸って卒倒することしばしばあったとか。その民家も最近移転をいたしております。同じく工場近くで工事中の作業員もガス吸引をして医療を受けておることも聞き及んでおります。まただいぶ前のことですが、ある農家の幼児が粉塵煙を吸い込んで呼吸困難を来たし入院したこともあったということです。その他にも多くの人に対する公害があるのです。 小名浜地区においても幾多の被害があったことを聞かされております。最近、重油専焼火力発電所がつくられ、あるいは銅製錬が行なわれている中で、亜硫酸ガスの発生があることは、今回その対策費として約7億円を投資するとの会社の報道からしても会社自体か認めておることを物語っておると言えます。黒穂病の原因は亜硫酸ガスと重金属の化学反応だと言われますし、藤原川の流氷からカドミウムらしきものが検出されたとかを聞くとき、このような地域環境の中で生活し、黒穂病の米を食べているうちには四日市ぜんそく、イタイ・イタイ病、水俣病が、よその地区での公害病だと受けとっておられぬような気がして背筋の寒くなるのを感ずるのであります。これらの不安をなくし、住民の健康と生活を守るためには市の積極的な科学的究明の中からの公害対策が望まれ、それが急務であることは言を待たないところであります。私たちは、過日、公害対策の先進地を視察してまいりました。大阪府の堺市におきましては、企業は多額の金を投じて公害を未然に防止するため、その発生源の施設を完備しております。市はテレメーターを設置して、自動的に公害発生をキャッチし通報することにより、その対策がとられておるのであります。特に感じたのは、技術職員の充実であります。公害課の職員12名のうち事務職員は課長ほか1名であります。ほかの10名は技術職員なのであります。その内訳は薬剤師3名、衛生工学2名、応用化学2名、機械工学2名、金属工学1名の大学及び大学院でそれぞれの学問を専攻して来た技術陣が業務にあたり、さらに今年4月応用化学専攻者2名を採用決定しておると聞いてまいったわけであります。市としても企業の化学人と対応できる態勢にあることを見聞して、公害から市民を守る市政のあり方に強く感銘を受けたところであります。 わがいわき市においても専門技術者の必要性を痛感し、これが充実をはからなければ企業との間におくれをとり、公害問題に対処できないと思うのでありますが、これに対する考えをお聞かせいただきたいと思うのであります。要するに、公害の防止は企業のこれに対する誠意と努力、自治体のこれに取り組む態勢と、その対策によって達成されるものと考えられるのであります。 また市当局は各企業ごとに公害防止協定を結び工場内に立ち入りをするなど、互いに公害を起こさない努力をすることであり、その具体策があれば示していただきたいと思います。 次に、福島県においてもいわき市内に公害センターを設置すると聞くのでありますが、その運営についてはどこで行なうのかお知らせいただきます。 公害問題の終わりに、いわき市公害対策審議委員会の性格についてお伺いします。現在までの委員会の審議事項は、市長よりの諮問事項のみであります。新規企業誘致の際に、その工場が公害を起こすおそれがあるかどうかの諮問のみであって、いまだ工場も建たず公害等は発生していないものに対する審議でありまして、これは企業のこれからの誠意に負うところ大であります。既設企業に対してあるいは現に公害を発生している企業に対しては何らの発言する余地がないのでありますが、私は公害対策審議会の名称であるならば積極的な防止対策まで審議すべきものと考えるのでありますが、市長はいかがお考えを持っているのかご明示願いたいのであります。 次に、港湾整備と開発についてお伺いいたします。新産都市の中で、常磐地区の主たる開発は臨海工業であり、そのため県は小名浜港の開発整備拡充をはかりつつあり、いまや東北の誇れる港、小名浜港として、国内船はもとより多くの外国船舶の出入りがあり、国際貿易港としての役割りは大きいと思います。しかるに、過日の台湾坊主による空光丸沈没事故により、多くの遭難者を出したことは船そのものの運行上のミスがあったやに伝えられてはいるわけですけれども、小名浜港内における事故である以上、県の港湾であるとは言え、市としても一端の責任とその汚名は免れないと考えます。このようなことが二度と繰り返さないためにも今回の原因の究明と、事故防止対策としてのなお一そうの港湾整備がなされるべきと考えられますので、安全性の確保と具体策があれば明示され、汚名払拭の役割りを果たしていただきたいと思います。 また、現在の小名浜港は臨海工業地帯として、既設企業と今後予定されるものも含めると満杯の状態となり、背後地についても余裕がなく、仄聞するところによれば勿来地区に新小名浜港の建設計画がなされ、すでに県は調査の段階も一応整い具体的計画にはいるやに伺うわけでありますが、これが開発されるにつきましては種々論議がなされるところでありましょうが、その規模により市長のいう公害のない工場誘致を行なって行くとするならば、地の利を得た関連産業開発と相まって地域発展のため喜ばしいことと思いますが、ただ1つ問題となるのは既存産業の対策であります。ご承知のように菊田浦における漁業は小名浜地区とは異なり、全くの沿岸における漁獲、海草、または貝類等の採取によって漁民生活の依存度はまことに高く、あの地域の漁業権の収奪は漁民の死活問題でありますので、この件に関して十分に検討され、万遺憾なきを期されるよう現時点において警鐘を呈しておきながら当局のこれに対する対処策と、県の現段階における開発計画について知り得るところを明らかにしていただきたいのであります。少なくともこの開発にあたっては、大劒問題のように県が富士興産の誘致を決定し、既存産業との間に争いが起こり、国の石油審議会の原油割り当てが決定する時点において市が承知をしたなどのような不手ぎわのないよう県と各官庁との連絡を密にし、情報の収集に万全をはかり、議会及び地域住民との対話を十分行ないながら納得のいく開発が進められるべきであると思うのでありますが、市長の考えをお伺いいたします。 次に、建設行政についてお伺いいたします。1つは、住宅建設に伴う集会所及び遊び場の建設についてであります。市長は住宅建設にあたって、今年は450戸を各地区の特色を踏まえて計画的な大住宅団地の建設を目ざすとしておりますことはまことに当を得たことと喜ぶものであります。言うまでもなく、住宅団地ができれば隣組や部落会がつくられます。市長はそこに市の行政を末端まで徹底させるために行政事務嘱託員を委嘱するわけでありますが、このような組織があれば必ず会合を持たなければなりません。ところが、現在の市営住宅団地には集会所がないのです。二室か三室の住宅内に30人あるいは50人が集まれるはずがありません。そこで集会の必要があれば、晴れた日を選び、野外で話し合いをしている現状であると聞くのでありまして、市行政の徹底や隣組、部落会での親睦をはかることは困難な状態にあるのであります。また住宅ですから家族、子供が住んでおります。健全な子供を育てるのは安全な環境が必要であります。それぞれの子供に合った遊び用具と場所が要求されるのは当然でありましょう。補助金を出すから受益者でつくれということがあったそうでありますが、入居者の多くは転勤の問題をかかえる永住性の少ない、あるいは生活に余裕のない方が多く、入居者たちが主体的につくるということは不可能なことであることはご承知いただけると思います。市長は、このような状態の中にある新設、既設の市営住宅団地に、その戸数に見合った集会所及び遊び場を建設する考えがあるかどうか。あれば具体的計画をお知らせいただきます。なお、50戸以上の住宅団地には集会所をつくらなければならないこととなっているそうでありますし、また福島市ではすでに建設されておると聞くのであります。 2つには市が行なう工事請負に伴う入札の方法についてでありますが、ご承知のように工事請負入札については、市の指名業者となり、連絡を受けた場合に金額の多少にかかわらず、ほとんど本庁に来て説明を受け、現地調査説明を受けたのちに、再度新たに入札のため来庁されることになっておるとかいわゆる2日がかりになってしまうのであります。これが遠隔地であるとまことに時間的、労力的にロスが大きいと言われ、入札でありますから数人の業者が等しくその状態となるわけでありまして、これに対し合理的な方法あるいは入札担当職員が工事のあるもよりの支所に出向いて入札業務をする等の方法が取られないものかどうかお伺いしたいのであります。このことが昨年の当初議会で所信表明され、市長の市政執行の三本の柱の中にある第2の第一線業務の充実と機動性の発揮を主体にきめのこまかい市民サービスに万全を期する「あたたかい親切な市政」でありましょう。 最後に交通安全対策についてであります。こんにち、いわき市の中で交通事故のない日は1日としてないでしょう。全く交通戦争の毎日であると言わなければなりません。まことに遺憾なことでありますし、こんにちの政治の中で、この問題を避けて通るわけにはまいらないと思うのであります。私は昭和44年6月定例会における一般質問の中で、この種の市長の考えをただしたのでありますが、何ら改善をされておらないと受けとっておるのでありますけれども、もし、改善されその実績が上がっておったとしたら具体的にお示しいただきます。今回は前回の重複を避け、次の1点のみにしぼってお伺いいたします。 交通災害対策の一環として、10市が行なっておる交通災害共済についてその実績が上がっておることは了とするところであります。また市民が万一の事故を想定しての加入促進は必要でありましょう。しかしながらそのことは交通事故が起こった後の問題なのでありまして、市民を交通災害に加入させると同時に、事故を起こす以前にその対策が行なわれていることが大切であろうと思います。その意味で交通安全大会を持たれていることはわかりますが、一時的啓蒙ではなしに日常的な交通安全教育が必要であると思うのであります。毎日の生活の中で、住民の交通安全に対するマナーの不足による事故が多いと言われております。市民であるところの子供もおとなも老人も実際に交通安全のマナーを目で見、からだで会得できるような方法で、交通安全モデル施設をつくりながら教育を徹底すべきであると考えるのでありますが、市長にその考えがありますかどうかお伺いいたします。 以上で私の質問を終わります。 ○議長(志賀季三郎君) 市長。 ◎市長(大和田弥一君) 〔登壇〕星議員のご質問は多種多様にわたってのご質問でありますので、私からお答え漏れのところがあろうかと思いますが、その際には再度質問なり、あるいは関係部長から補足答弁していきたいと考えますのでご了解願いたいと思います。 まず第1点は、財政問題であります。長期財政計画を立ててまだ1年有余に過ぎないにもかかわらず、大きく財政規模も変動しておる。これは緻密な財政計画を立てなかったために1つの大きな欠陥の現われではないかというご指摘であります。われわれとしましては、当時の考え方から申しまして、大体、財政規模の伸長率というものは12.3%から15%、これは毎年の全国の伸長率でございます。その線に沿ってわれわれは財政計画を立てたわけであります。しかしながら、これが大幅に伸びたことは先ほどの吉田議員からご指摘がありましたとおりでございます。その1つは、地方交付税の大幅なアップで7億円も伸びており、それからもう1つは、競輪事業が大幅に伸びて収入面が予想以上に伸びたことであります。国の政策の一環として、地方交付税の伸び率はどうなるかということについて、大体年間の経過をたどりながら財政計画を立てたわけでございます。非常にずさんであるというご批判は、私たちはどうも受けとれないのでございます。ただ今後の財政計画はどういうふうになって行くか、今後の財政計画は早く立てるべきであり、また議会にはかるべきであるということはご指摘のとおりであります。ただ、いま言ったように伸びというものについていろいろな要因が変わってくるおそれがあるということを、われわれは心配しているということを吉田議員にも申し上げたとおりであります。地方交付税率の変更、いわゆる3国税に対する32.5%を変更する意図が国においてすでに芽ばえていることはご承知のとおりであろうと思います。それから、先ほど吉田議員にも申し上げましたように、14市町村別々の歳入を組んだものを5カ年間は総合計をプラスしていくということから交付税をとってもらったわけであります。これも47年度から一本化して交付税の算定基準をきめていくということになると、ある程度のしわ寄せがいわき市の場合は特殊な事情として加わってくると思います。そういうものをよく見きわめたうえでやらなければならないというふうに思うわけであります。 それから45年度は30%伸びていると国の予算は17%、県は14%で、これから見るとえらく伸びた勘定になる。こういうところから見ると何か政策的な、いわゆる市長選挙にからんでの意図があるんではないかというご指摘でございますが、私はそうは考えておりません。ということは、本年度の財政執行計画というものは総予算主義をとっております。年間の補正というのを極力避ける、その都度の思いつきでやったのでは市民のためにならんということから、極力、総予算主義をとったところにあるわけであります。ですから44年度の決算は113億円、本年は118億円だということでパーセンテージからすれば大きな開きがないのであります。しかしながら、総予算主義を貫くにしましても、年度当初に比べての予算が30%になったということです。それで年度途中で予算を修正しないかというとそうではない。国の補助あるいは交付金等についての財源措置を講じ、そのことにわれわれは十分と今後努力して行くことが市民に対するつとめでないか。特に乏しい財源でありますから、乏しい財源を何ぼかでも国県の交付額、補助額を大きくとって来て、それによって事業をやっていく、たとえば、街路事業を単独事業で6億でやるとすれば、一般市民からの6億を税金でまかなわなければならない。しかし、それでは困る。国から街路事業として認定してもらえば6億のうち4億を補助金としてもらえる、あとの2億のうち1億近くは起債に認めてもらうことができる。1億の税金で6億の仕事ができるわけです。そういう面から、極力、われわれは前向きの施策を実行していくという考え方から、総予算主義を貫きながらも積極的に取り入れていく。また単独事業については、緊急やむを得ない事業が相当出てくると思いますが、そういうものについてもなお年間の定例会において提案したいと考えておりますが、原則はどこまでも年間の総合的な考え方から本年度予算を組んだということをご理解願って、伸び率が大きくなったという実態をひとつ把握していただきたいと思うのであります。 次に、農政問題でございますが、政府は産米対策として減反目標を立てまして、いわき市にも割り当てがあったが、この割り当ては強制的でありません。農民の意思によるわけであります。農民の意思に沿うのが非常にむずかしいのであります。「おまえのところは1町歩あるから1反歩減らせ」ということは一刀両断であってきわめて簡単でありますが、しかしながら国の政策はそうでありません。実質的に食管会計の赤字から余剰米をどうするかということで、それには減反でいくしかないんではないかということから、こんにちこのようになって出て来たのであります。これにつきましては、各農協単位に目標額をきめて、各農協において農民と相談しながら進めて行くわけで、現在、それが進行中であることをご了承願いたいと思います。なお米の減反に伴う代がえをどうして行くかという問題について、では何をやって代がえとするのか、その点遺憾でないかとのご指摘ですが、正直に申し上げてそのとおりであります。それではどういうふうにやっていくか、国において減反させる以上は何を代がえ策としていくのか、また代がえでなくともどういう方法でやっていくのかは示されないのであります。こういう点は遺憾であると施政方針の中で申し上げましたが、そういうことでわれわれとしては、国には何の策もないということを批判せざるを得ないのであります。農民に対してははなはだ申しわけないと考えているのであります。 奨励している品種については「農林10号」を主体にする、しかし「農林10号」はからがやわらかいということから腐食するおそれがあり、それでは何がいいかということについて何をもってやっていくかについての方策を立てながら「あきばれ」とかその他の品種でやっていく、地域によってそれぞれ違いますので、品種の奨励の方策は早急に進めていきたいと思うのであります。 それから今後の農政の策として、たとえば阿武隈山系総合開発を進めるにしても酪農中心でいくのか、酪農中心で行くといいながら、酪農そのものは必ずしもバラ色だということではないんではないかということはご指摘のとおりでございます。酪農といってもそれが有利な農業経営であるということばかりいかないのであります。現に生乳が余っているということで、むしろ苦しんでいる状況であります。これは高いということが1つの原因であろうと思います。そういう面においてもっと根本的な施策を確立させなければならないのではないか。いま阿武隈山系地帯の振興は畜産、酪農を主体にした計画をおそらくできるのではないか。46年になって1つの案ができなければはっきりしませんが、47年にははっきりしたものができると思います。そういうことで酪農と畜産が主体になって、その他森林、林野あるいは特殊作物というふうになるんではないかと推測されますが、酪農、畜産が主体になっていくことは常識から言って疑いないと思います。それにしても畜産、乳牛あるいは肉牛の需要等を広めるという観点から草地の開発に中心を置くわけであります。草地の開発といってもそう簡単にはいかないことは十分わかります。しかし、簡単にいかないからといってそれを放っておけということにはまいりません。それを克服していくような努力を国、県、市が一体となって進めなければならんというふうに考えております。 それからなお、休耕の奨励金は45年度いっぱいだと、国の施策としては1カ年となっておりますが、その後における施策はどうするかについては、おそらく、近いうちに国の農政の一環として減反を含めて方針が打ち出されるんではないかと思うのであります。 次に公害の問題でございますが、農作物の被害については各地区にある被害対策委員会があって、こういうもので処理しており、これも被害の度に応じて賠償あるいは補償というものを中心とした委員会でございます。人間に対する公害対策は公害審議会で十分審議しなければならないと考えております。公害対策審議会は、新規企業の間と協定するためにつかわれているようなご印象ですがそういうふうには考えておりません。旧来ある企業に対する諮問、公害全体に対するあり方、そういう問題について人間、農作物を含めて諮問をしながら進めて今後とも努力していきたいと思います。 それから、公害に対する専門技術者が不足しておるということはご指摘のとおりであります。44年度は専門的な研究をさせるため工専校に送っており、45年度も引き続き送るようにしておりますが、なお技術員の不足を痛感しております。そういう点についてもっとわれわれとしても技術陣の充実をはからなければならないというふうに考えておるわけであります。これはご承知のように新しい産業というとおかしいですが、いままでは応用化学、機械科学、その他の化学は生産を主体にした技術であります。公害防止に対する技術は、実際新しい問題として投げかけられた最近の事象であります。したがって右から左ヘ技術者を集めることは不可能であります。市自体としてもあれば招聘いたしますが、それでも足りませんので、市としても一そう要請を強めていきたいと考えております。今後の公害問題についてはいま申し上げましたように予防と防止、公害が発生した場合の処理を審議会において十分検討できる場を私たちもつくっていきたいと思う次第であります。それにはいまのような専門的な技術員も必要であるということを重ねて申し上げたいと思います。 次に、小名浜港の整備の問題でございますが、小名浜港の整備は、最初は第1埠頭だけでの商港として発足しようということで、あの防波堤ができたわけでございます。ところが現在では、それより何十倍の港湾整備計画が実現しつつあります。非常に不形成な港湾整備であったと卒直にあの港を見て認めざるを得ない。それで国に対しましても、将来のためにはもっと大防波堤をつくることが必要でないかということを言っておりますが、本当に技術の粋を集めた研究が必要であります。これは一市一県でできることでありませんので、十分、小名浜港の整備については、公害というかああいう事故の起こらないような措置を講ずることは少なくともやらなければならないと思います。なお、菊田浦の港湾計画があり、それについては漁業権についての措置を事前に十分話し合いをする必要があるんではないかということでありますが、ご指摘のとおりでございます。やらないというなら別ですが、やろうという具体的な問題が出て来た場合にはもちろん整備に取りかかる前に、権利関係というものを解明しながら住民に影響を及ぼさないよう、また迷惑のかからないように努力することが、市長としてのつとめであることをこの際申し上げて、ご了解いただきたいと思います。以上でございます。 ○議長(志賀季三郎君) 建設部長。 ◎建設部長(但野武義君) 〔登壇〕14番星議員の質問中建設関係のご質問にお答え申し上げます。 施政方針中の大住宅団地計画は非常にけっこうだが既設住宅団地につきましては集会所並びに子供の遊び場が必要であるが、不足しており、これをどうするんだというご質問であります。公営住宅基準によりまして現在設置しておりますのは5カ所でございます。今後は住宅団地の基準としては100戸以上につき1カ所となっておりますので、今後計画される団地につきましては基準に従いまして設置してまいりたいと考えております。なお、既設の団地につきましては、よく現地調査をいたしまして、漸次設置するような努力を加えてまいりたいとかように考えております。 次に、入札の執行方法でございますが、たしかに遠隔地の方々はいちいち本庁まで来られる労力に対しましてはお気の毒ではございますが、現在の執行体勢としては出先に行って入札することはなかなか容易でございませんので、現在やっている方法は、なるべく工事発注を一括して入札を行なっておるわけであります。それともう1つは50万円以下は出先にまかしておりますので、今後もこういう方向でいきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。 ○議長(志賀季三郎君) 教育長。 ◎教育長(大和田道隆君) 〔登壇〕星議員のご質問にお答え申し上げます。交通安全対策の問題の中で日常の交通安全教育が非常に重要であります。こういう中で交通安全モデル施設という問題がでましたので、教育委員会としましては、学童たちの交通安全を確保するために「交通安全の手引」というようなものをつくって家庭においても教育指導をお願いしてありますが、学校側といたしましても施設をできるだけ学童たちの関係の深いところに設置してもらおうということで、昨年度までに21カ所(歩道橋等も含めて)、それから44年度には5カ所ほど現在すでにでき上がっておるわけでございます。なお、国、県公安委員会等にも今後の問題としていろいろお願いをしておるわけでございます。施設としましては国のほうから補助によって、方部に大体1年に1カ所交通教室をつくってというような指導がありますので、昭和44年には平第三小学校に交通モデル施設の設置を見たのでございます。45年度には小名浜二小にこれを設置する予定でおるわけでございます。この施設につきましてはほとんど全額国の補助でございますので年次ごとにこれを充実してまいりたい。なお、学校教育を通してできる限り交通ルールを会得させ、交通ルールを守られるような指導をさらに徹底してまいりたいと考えておるわけでございます。 ○議長(志賀季三郎君) 以上をもちまして代表質問は終了いたしました。明日午前10時、この議場で再開のうえ、一般質問を行なうことにいたします。     ----------------------------- △散会 ○議長(志賀季三郎君) 本日はこれをもって散会いたします。             午後2時30分 散会             ----------...